ドイツ情報満載 - YOUNG GERMANY by ドイツ大使館

どうしてもこだわってしまうもの

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どうしてもこだわってしまうもの

みなさんは食において、どうしてもこだわってしまうものってありますか?

 

私の場合、とくに「食通」というわけではないのだけれど、

 

ひとつだけこだわってしまうものがあります。

 

それは・・・・・パンです!

 

どうです、ドイツ人らしいでしょう?

 

それでちょっとひねくれた性格なので、「パンにこだわる」といっても自分でパン作りをするわけではなく、、、、

 

市販のパンにうるさいというわけです(笑)

 

ワケを説明させていただきますと、ドイツで育つと、「パンとはこういうものである」と、良くも悪くもこだわるようになるのですね。

 

私のなかでパンの定義は、1)歯ごたえ(かみごたえ)があって、2)バターを塗っておいしく食べられて、3)サラミやハムをのせておいしく食べられる、

というものです。

 

なので、ニッポンで好まれがちな「ふわふわのパン」だとか「柔らかいパン」などと聞くと、「そりゃ、柔らかいでしょうけど、それはパンじゃないし!」と叫んでしまいそうになります(笑)

 

最近、行列ができていることで話題のパン屋さん。確かに店の前を通るといつもおいしそうな匂いがしますが・・・・・

 

私のドイツ風の「こだわり」により、そこのパンはまだ食べたことがありません。

 

いつもいい匂いだし、評判もすこぶる良いので、きっと食べたら、おいしいのでしょう。

 

でも、もしも食べてみて本当に絶品でおいしかったら・・・・・

 

私の今までのパンへのこだわりは何だったのでしょう・・・・?ということを考えざるを得なくなるので、そういったこともあり、トライできないのかもしれません(笑)

 

似たような理由から、私は今に至るまで「フルーツサンド」というものを食べたことがありません。

 

よく千疋屋に行くのですが、決まって食べるのは「パフェ」です。そうです、フルーツパフェです。

 

千疋屋といえばフルーツサンドも有名で、私が店を訪れた時も、だいたい周りの人はフルーツサンドを食べていました。

 

けど、私の中の「ドイツ風のこだわり」では、「パンにフルーツを挟むだなんて、

 

そんなのアリなのかしら??」となってしまうわけです(笑)

 

いや、わかってるんです。前述の「ふわふわで柔らかいパン」同様に、

 

フルーツサンドだって、きっと食べてみればおいしいのだろうということは。

 

こんど千疋屋に行った時は、自分のなかで「パン」だということを忘れてフルーツサンドを食べてみるという方法もありますが、、、、

 

 

実現するのでしょうか(笑)

 

 

色々と書きましたが、「パン」にこだわるドイツ人(あとフランス人も!)は多いです。「あんぱんみたいな甘いものはパンだとは言えない!」という声もドイツ人やフランス人から聞きますし。やっぱり、冒頭の通り「パンとはこうでなくてはいけない」というのが(私も含めて)あるのでございます。

 

では、日本人にとっての「こだわり」はなんだろう・・・・?と考えてみると、、、、

 

それは「ご飯」つまりは「お米」なのでした。

 

実はドイツにはMilchreisという料理があります。直訳すると「牛乳米」です。お米に牛乳をかけたもので、最近ではチョコレート風味だったり、リンゴをのせたり、この写真のようにオレンジを使ったバージョンもあります。

 

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ドイツでは家庭で食べる料理ですが、私は母が日本人なので、Milchreisは作ってもらったことはありません。

 

母はあまり日本人らしい日本人ではありませんが、いつかMilchreisの話になった時に「お米に牛乳をかけるなんてあり得ない」と言っていたのは覚えています。やっぱり「お米の食べ方」に関しては、日本人らしいこだわりがあったのでした。

 

そんなこんなで私は今に至るまでMilchreisを食べたことがなく、いわばMilchreis未経験者なのでした。

 

しかし、考えてみると、ドイツのMilchreisも未経験者(理由→「お米に牛乳をかけるなんて」という日本的価値観)であり、日本のフルーツサンドに関しても未経験者(理由→「パンにフルーツを挟むなんて」というドイツ的価値観)というのは、我ながらなかなか面白いですね。

 

まあ要は「食わず嫌い」なんですけどね。

 

そういえば、ドイツにはWas der Bauer nicht kennt, das frisst er nicht. なんて諺があったのでした。直訳すると「農夫は自分が知らないものは食べない」です。「新しいものをやたら警戒し、触れようとしない、試そうとしない人」のことを指します。

 

 

食べ物にまつわる「食わず嫌い」を指すこともあれば、それ以外の文脈で「自分の知らないものには一切挑戦しない頑固で保守的な人」のことを指すこともありますが、、、今更ながらですが、ドキッとするというか、思い当たりあります!

 

サンドラ・ヘフェリン

サンドラ・ヘフェリン

ドイツ・ミュンヘン出身。日本歴19年、著書に「ハーフが美人なんて妄想ですから!!」(中公新書ラクレ) 、「ニッポン在住ハーフな私の切実で笑える100のモンダイ』(原作: サンドラ・ヘフェリン、漫画: ヒラマツオ/KADOKAWA)、「『小顔』ってニホンではホメ言葉なんだ!?~ドイツ人が驚く日本の「日常」~」(原作: サンドラ・ヘフェリン、漫画: 流水りんこ/KKベストセラーズ)」など計11冊。自身が日独ハーフであることから、≪ハーフはナニジン?≫、≪ハーフとバイリンガル教育≫、≪ハーフと日本のいじめ問題≫など「多文化共生」をテーマに執筆活動をしている。ホームページ 「ハーフを考えよう!」 を運営。趣味は時事トピックについてディベートすること、カラオケ、散歩。

サンドラ・ヘフェリン